意外と危険な食べ物 餅による消化管障害

意外と危険な食べ物 餅による消化管障害

日本人にとって身近な食べ物であるお餅。
しかし、意外に危険な食べ物であることをご存じでしょうか。
年末になると、お年寄りが餅でのどを詰まらせて亡くなったというニュースも耳にします。
そんな窒息だけではない危険についてお話をします。

餅による消化管障害とは

餅による消化管障害としては、腸閉塞(イレウス)潰瘍形成穿孔などが報告されています。
一番最初に報告されたのは1968年で、以降も報告が相次いでいます。
いずれも日本でのもので、海外では食生活の違いもあり報告はありません。
これらの報告の中でも最も多かったのは、小腸の閉塞と穿孔です。
そのほかは、胃や食道に異物として認めたり、潰瘍を作ったりします。

症状としては通常の腸閉塞や消化管穿孔と同じように腹痛をきたすことが多いです。
多くの場合、餅の摂取から数時間から1日以内に発症し、遅くとも4日以内に何かしらの異常を認めていました。

月別の発生状況を見ると、10月から徐々に増加し、特に1月で多く認めます。

腸閉塞については以下も参考にしてください。
https://surgeon-s.com/ileus/
https://surgeon-s.com/food-bolus-impaction/

なぜ餅がいけないのか

実際に手術で摘出された餅を見てみると、未消化の硬化した状態であることが多いです。
餅の主材料であるもち米はアミロペクチンという成分でほぼ100%構成されています。このアミロペクチンは分枝状の構造をしており、そのため熱水にも溶解されません。
さらに餅つきによって難消化成分であるレジスタントスターチ(人間の象徴では消化されないデンプン)を含むようになると言われています。
また、餅自体の特性として、加熱すると柔らかくなるが、温度が低下するにつれて接着性を増すことも影響しています。体の中を通っていくにつれて、冷えて固まり、消化管の中を通りにくいものになっていきます。

どうすれば危険を回避できるのか

上記のような危険の発生要因としては以下のような状況が挙げられています。

①咀嚼不十分
小さなお子さんやご年配の方では、注意していても早食い丸呑み癖などのある方がいます。また、歯牙の欠損合っていない義歯などがある方も注意が必要です。

②腸管自体の器質的異常
お腹の手術を受けた際に癒着することがあり、それに伴って腸の動きや通りが悪くなっている方がいらっしゃいます。また、胃や腸の手術を受けた方では、つなぎ直していたりすると、通常とは流れが異なっており通りが悪い方がいます。
そのような場合だと、やはり詰まりやすくなります。

③腸管の運動を低下させる薬物の使用
おもに副作用として便秘とかかれている薬を使っている方です。
下痢止めや医療用麻薬、ケシの実などが知られています。
医療用麻薬などは咳止めなどでも含まれていることがあり、健常人でも多く使うと便秘がちになりやすいです。

④空腹時の摂取
餅は胃酸に触れると固く変化してしまうことがあるようです。
消化のイメージとは反するかと思いますが、実際にはこのようなことが起こります。
そのため、空腹時に食べてしまったり、もともと胃酸が多い方では、餅が固まって問題を起こす可能性があります。

以上の発生要因を避けるようにすることが非常に大切です。
2㎝以上の餅を丸呑みすると問題が起こりやすいようです。
よく噛んで食べることを徹底しましょう。

最後に

餅はいつでもどこでも手に入り、日本人には非常になじみの深い食べ物です。

しかし、危険性もある食べ物だと認識していただき、注意深く食べることが大切です。

お正月食べるときにはぜひ思い出してください。

お大事に。