子供の股関節のふくらみ?

子供の股関節のふくらみ?

鼠径ヘルニアという病気をご存じでしょうか。
主に、高齢の方と小さなお子さんにみられる病気ですが、今回は小児鼠径ヘルニアについてお話をします。

鼠径ヘルニアとは

股関節のやや上(鼠径部)にみられるヘルニア(脱出するという医学用語)です。
もともと、鼠径部には筋肉と筋肉の間の隙間に弱い部分があります。
その部分がしっかりと閉じていなかったり、引き伸ばされたりして、お腹の中の臓器が飛び出しヘルニアとなってしまうことがあります。
ヘルニアについてはhttps://surgeon-s.com/ing-hernia/

股関節(または下腹部)のふくらみを見たら

立ったり、強く泣いているときに鼠径部が膨らんだ場合にはヘルニアが疑われます。
横になったり、押したりすると戻ることが多いのも特徴です。
押しても戻らなかったり、痛がるような場合は、お腹の中の臓器が穴にはまり込んでしまう、陥頓という状況かもしれません。
痛がるような場合や、嘔吐してしまうようなことが見られたらすぐに医療機関を受診しましょう。
特に生後1か月をピークに陥頓が起こりやすいと言われており、注意が必要です。

痛みや嘔吐などの症状がない場合は急ぐ必要はありません。
しかし、鼠径ヘルニアであった場合には治療が必要かもしれません。
生後3か月で見つかった場合には、男児で約54%、女児で39%が自然に治癒すると言われています。
しかし、数か月待っても状況が変わらない場合には医療機関を受診して、正しい診察および治療を受ける必要があります。

治療と危険性

鼠径ヘルニアは薬の内服では決して治ることはなく、治療としては手術するしかありません

手術の時期としては、新生児の場合にはある程度成長を待ってから行うことが多いです。
しかし、待っている間に陥頓を引き起こしてしまうリスクがあるため、医療機関を受診の上、注意深く見守っていく必要があります。

手術の内容としては、弱くなっている部分を縫い閉じるというものが多いです。
成人では人工膜(メッシュ)を敷いて補強してくることが多いですが、成長する小児では行うことはほとんどありません。
手術の方法としては、直接鼠径部を切開しなおす前方到達法と、お腹の中から治す腹腔鏡によるものがあります。
以前は前方到達法がスタンダードでしたが、現在は手術の合併症の少なさから腹腔鏡で行われることも多くなってきています。
しかし、腹腔鏡で行うにはある程度の技術が必要であり、普通の外科医ではなく、小児外科専門医が行っていることが多いです。

手術の危険性としては
手術中に起こりうるものとして、臓器損傷(神経、精管・卵巣、血管、腸管、膀胱、大網)があります。
手術後に起こりうるものとして、創感染、再発、対側発生、医原性停留精巣、精管・卵管閉塞に伴う不妊症があります。
感染や再発、対側発生は比較的見られますが、ほかは非常にまれです。
しかし、起きた時のデメリットが大きいのも事実です。

どんな病院に行けばよいか

間違いないのは小児外科を標榜している病院です。
しかし、小児外科はなかなか存在せず、大きな病院でしかないことも多々あります。
まず、相談するのであれば小児科(または外科)が良いのではないかと思います。
本当に治療が必要となれば、小児外科のいる病院へ行くので良いかと思います。
もし遠くまで移動しないとない場合には、一般外科医であっても、手術も対応してくれることがあります。
しかし、手術をするのに麻酔が必要ですが、麻酔科が対応できない可能性もあり、小児科もある病院の外科に行くことをお勧めします。

最後に

小児では比較的よく見る疾患の一つです。

重症となることはあまりありませんが、適切な治療を行うことが望ましいです。

気になったら医療機関で相談してみてください。

お大事に。