胆嚢の手術、腹腔鏡で。

胆嚢の手術、腹腔鏡で。

胆嚢結石症や胆嚢炎、胆管炎などで手術を決意した方にご一読いただければと思います。

胆嚢摘出術は全国で年間約13万件行われており、
そのうち約80%が腹腔鏡手術で行われています。

そんな腹腔鏡下胆嚢摘出術についてお話します。

どうして手術が必要なの?

この手術は主に胆嚢結石症の方が対象になります。以下を参考に。
https://surgeon-s.com/gallstone/

特に胆嚢結石(胆石)が原因で、疼痛や炎症を起こしている方は手術を受けることを強くお勧めします。

その理由として
これらの症状がある方(またはあった方)は今後繰り返す可能性が非常に高いからです。なぜなら、胆嚢結石が2個以上ある方が多く。また、問題の起こした結石が胆嚢内に残ったままのことも多いです。
また、いつ再発がするかがわかりません。再発した時が海外であったら膨大な費用が掛かります。お金がかかるだけならまだしも、医療のレベルによっては致死的となってしまう可能性もあります。人生の大切なイベントに一致してしまう方も少なくはないです。
さらに、胆管炎などは致死的な敗血症になる可能性があり、予防が必要です。胆管炎は敗血症となってしまう可能性の高い疾患です。敗血症では致死率が高く、さらにそれに伴うショック状態(血圧が低下してしまった状態)になると致死率30~50%とも言われます。

どんな手術なの?

臍、右の肋骨下3カ所の合計4カ所に1~2cmの傷で行います(左図)。
施設によっては、臍だけで行っていたり、傷の数が少なかったりしますが、4カ所であることが標準的です。

手術時間は1~2時間程度ですが、
以前の炎症の強さや体形、おなかの手術の既往などで前後します。

おへそを切開して、ポートという細長い筒を装着しておなかをガスでふくらまします。腹腔鏡(カメラ)を入れておなかの中を観察します。胆嚢を栄養している血管を縛り、胆汁の流れ道である胆管(正確には胆嚢管)を縛ります。胆嚢自体は肝臓の下側にへばりついているため、これをはがして摘出します。切除した胆嚢はおへそから取り出し、傷を縫い閉じておしまいとなります。

よく、「胆嚢を残すことはできませんか?」と聞かれます。
答えは、できなくはないですがメリットがありません。

胆嚢を取らないと、再び結石ができる可能性があります。
もちろん、胆嚢をやむを得ず残す場合もないわけではないですが、
せっかく同じように手術をするのであれば取ってしまったほうが良いです。
胆嚢を取ったことによる変化については、以下の手術後の頁でお話ししています。

危険性は?

どんな手術にも危険性があります。
主に考えられるもの、私が手術の前にお話ししているものを挙げます。

  1. 出血
    出血の全くない手術はありません。
    標準的には10~20cc(採血1回分程度)も出ないことが多いです。
    しかし、炎症が強いと出血のリスクは高まります。
    命に係わるような出血があれば輸血を行います。
    https://surgeon-s.com/transfusion/
  2. 感染
    胆嚢は腸管とつながっており、中身は菌だらけです。
    そんな中身がおなかの中や傷についたら感染を起こします。
    もちろんこぼさないよう手術をしますし、よく洗います。
    しかし、菌は目に見えず可能性を0にすることはできません。
    これも炎症が強い場合には可能性が高くなります。
  3. 他臓器損傷
    肝臓や十二指腸、横行結腸などが近くにあります。
    これらの臓器を傷つけないように行いますが、
    0.1~1%程度の可能性で損傷がおこると言われています。
  4. 腸閉塞
    おなかの手術では必ず説明する危険性です。
    腸同士が癒着(くっ付くこと)して流れが悪くなる方がいます。
    以下も参考にしてください。
    https://surgeon-s.com/ileus/
  5. 全身麻酔に伴うリスク
    肺炎、心筋梗塞、脳梗塞、薬剤アレルギーのリスクがあります。

手術後

傷は痛みますが、数日~1週間程度で落ち着く方が多いです。
痛み止めも使えるので遠慮せずにおっしゃってください。
痛みを我慢して動かなかったりするほうが、薬を飲むよりも体には良くありません

翌日にはお食事が再開できることが多いです。食事の内容としては粥食で始めることもありますが、食べるものに制限があることはあまりありません。

緊急手術ではなく、予定の手術で行った場合は
術後3~4日程度で退院できることが多いです。

シャワーも入浴も退院後は問題ないことが多く、
職場に復帰することも相当な重労働でない限りは問題ありません。
傷口はむしろシャワーなどで洗い流すほうが治りは良いです。
消毒などは不要で、傷から液が染みる場合はガーゼや絆創膏などで保護し、
入浴は控えてください。

胆嚢を取ったことで一時的に便が緩くなる方がいます。
これは消化液が増加することによるものです。
消化液が多くなる分、大腸での水分吸収が間に合わず、便の性状に変化があります。
しかし、まったく変化を認めない人も多く、2~3か月で落ち着く方がほとんどです。

最後に

無症状でも手術を希望されれば、行っている病院もあるかと思います。

手術自体は比較的どこでも、いつでも行われているものです。

個人的には無症状の人に強くお勧めすることはありませんが、
症状のある方はぜひ早めに近くの病院で相談してみてください。

お大事に。