鼠径ヘルニア修復術とは

鼠径ヘルニア修復術とは

鼠径ヘルニアと診断されて治療を迷っている方へ。

鼠径ヘルニアについては以下を参照ください。
https://surgeon-s.com/ing-hernia/

どんな時に手術をするのか

一番よくあるタイミングは、
鼠径ヘルニアと診断されて予防的(待機的)に行う場合です。
症状があっても、なくても手術の適応となります。

もう一つが出っ張りが戻らなくなったり、強く痛むときです。
このような場合を陥頓と言います。
陥頓してしまった場合には徒手還納を試みますが、
戻らない場合や腸が壊死(細胞が死んでしまっている状態)のときは
緊急手術が必要となります。

手術の状況としては圧倒的に待機的に行う方が良いです。
緊急で行う場合は再発や感染などの危険性が高いだけでなく、
傷も大きく、大規模なものとなってしまう可能性が高いです。

手術内容

全身麻酔または腰椎麻酔(腰に注射し下半身のみの麻酔)で行います。

手術時間は片側につき30~60分程度です。

傷としては下記のように5~7㎝となります。
(下図は左の場合です)

出っ張りを治すだけですが様々な方法が提案されています。

大雑把に言えば、出っ張りのおおもとを閉じて補強することを行います。

以前は弱くなっている部分を単純に縫い閉じていました。
現在では人工膜(メッシュ)を当ててくる手術が主流です。
メッシュは皮膚の下の固い組織にしっかりと縫い付けます。

人工物が使えない場合などは、現在でも以前の方法を行っています。

人工膜(メッシュとは)

異物として反応しにくい繊維を用いてできた網状の膜です。

布のように柔らかですが、形状記憶があり折り目はつきません。

大きさはある程度決まっていますが、
体内に留置する際に、切って調整を行います。

当然、滅菌されていて無菌状態です。

基本的には一生体に残ります。
入れた直後は違和感を感じる方もいますが、なじむことが多いです。

危険性

  1. 出血
    採血でとるほども出ないことがほとんどです。
    しかし、もともと貧血の場合や炎症が強い場合、
    血をサラサラにする薬を飲んでいる場合は、
    致命的になる可能性がありえます。
    万が一そのような状況には輸血をすることがあります。
    https://surgeon-s.com/transfusion/
    また、後日皮膚の下で血のたまり(血種)を作ることがあります。
  2. 感染
    通常は汚染のない手術であり、感染の可能性は低いです。
    しかし、人工物を入れる手術のため、
    細菌感染は重大な問題となることがあります。
    もし入れたメッシュに感染が起こった場合は、
    再手術となることがあります。
  3. 再発
    この手術における最も危惧されるリスクです。
    約1%の方に認めてしまうというデータがあります。
    再発した場合は、再び手術を検討しなければなりません。
  4. 他臓器損傷(特に腸)
    お腹の中まで切らないことがほとんどですが、
    稀に大きく切ったりしなければならないこともあります。
    また、治す場所に腸がはまり込んでいることもあります。
    近くを扱う以上、傷つけてしまう可能性がありえます。

最後に

状況が許すなら手術を強くオススメします。

緊急で手術をするのは患者さんも病院スタッフも非常に大変です。

もっと詳しく知りたい方は、日本ヘルニア学会のサイトがあります。
参考にどうぞ。
http://jhs.mas-sys.com/civic3.html

お大事に。