食べ物による腸閉塞(イレウス)について

食べ物による腸閉塞(イレウス)について

手術後に生じてしまう癒着性腸閉塞で悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。
そのような方は食事にも注意を払っているかと思いますが、いったいどんな食事が良くないのでしょうか。
また、食事に伴う増悪を防ぐにはどのようにするのが良いのでしょうか。

食餌性イレウスとは

イレウスになる原因は様々あり、それらによって分類がなされています。
とくに手術後の癒着は、それ自体がイレウスの原因となるだけでなく、ほかのイレウスも引き起こしやすくなります。
すなわち、お腹の手術(特に胃や腸の手術)を行った後はイレウスになりやすい状態です。
イレウス自体については下記でお話ししています。
https://surgeon-s.com/ileus/

様々な種類の中でも、食べ物が腸管に詰まりイレウスとなってしまうものがあります。これを食餌性(食事性)イレウスと言います。
健康な人も、ある食べ物をたくさん摂ることで起こりますが、高齢者や手術の既往がある方は起こしやすくなっています。

イレウスの原因となってしまう食物

様々な食べ物が症例報告で上がってきています。
その中でも日本国内で報告があった食べ物について、例を挙げていきます。

・餅
日本では、数多くの報告が様々なところからあがっています。
主にお年寄りが上手に噛めずに大きいまま飲み込んでしまうことで起こります。
海外ではほとんど食べられていないため、日本独特の原因となっています。

・キノコ(主に椎茸)
こちらも椎茸の丸呑みで詰まったという報告が散見されます。
キクラゲやエノキなどでも報告があります。

・果実の種(特に柿)
さまざまな食べ物の種が詰まることが報告されています。
特に柿は種だけでなく、通常の可食部でも起こります。

・こんにゃく
消化されにくいものの代表です。
1988年から2002年の報告では食事性イレウスの23.5%と原因第一位でした。

・昆布
主に水分を吸うことで膨張し腸管内に詰まってしまうようです。
50年以上前の報告でも原因となる食物の上位に来ていました。

・その他

ごぼう、サトイモ、なす、ミカン、ホタルイカなど
海外ではタピオカの食べすぎ(1日三食摂っていたよう)で20歳の若者が腸閉塞になって、緊急手術をしたらしいです。

以上のように消化の悪い食品水で膨らむ食品が特に詰まりやすいです。
食物繊維を多く含む食品も健常人であれば便秘解消に有用ですが、腸閉塞の予防という点では逆効果になりやすいため注意が必要です。

治療は

まずは絶食点滴をすることで、手術をせずに保存的に様子を見ることが多いです。
しかし、しばらく経っても改善が見られない場合や、腸閉塞に伴い消化管穿孔腹膜炎をきたしてしまった場合には緊急手術が必要となります。
手術に関しては以下にまとめています。
https://surgeon-s.com/ileus-ope/

イレウスを予防するには

まずは、原因となりうる食品を知って、摂りすぎないことです。
これは全く食べてはいけないということではなく、摂りすぎてはいけないということです。
食べ始めは少量ずつからにして徐々に慣らしていきましょう。

また、よく噛んでゆっくりと食べることが大切です。
食事性イレウスの報告では、その原因となる食品の大量摂取以外に、丸呑みしてしまったことや、早食いなども増悪の一因となっていました。
普段の食生活の改善口腔内の健康を保つ(特に歯)ことが大切です。

薬としては大建中湯という漢方薬があります。
その働きは、胃腸運動を促したり、腸管の血流を増やしたりという風に作用し、腸閉塞を予防します。
お腹の手術を受けたことのある方や繰り返してしまっている方は、内服を検討してみても良いかもしれません。

最後に

自宅での食生活を、医療スタッフ(医者や看護師、栄養士など)により改善するのは、なかなか難しいです。

ご自身やご家族がしっかりとした知識を持って気を付けることが非常に重要です。

不調を感じたら食事を控えめにし、続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。

お大事に。