悩める便秘の方へ

悩める便秘の方へ

消化器外科では排便・排ガスは非常に重要な話題です。

しかし、排泄のこととなると恥ずかしくなかなか相談できないという方も見かけます。

排便は人間にとって非常に重要なことです。
そんな重大だけど話題にしにくい便秘についてお話しします。

便秘とは

そもそも便秘とはどの程度だと言われるのでしょうか。

慢性便秘症診療ガイドライン2017によると、便秘とは
本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態
という風に定義されています。

すなわち、便の回数が多くても残便感があったり、快適に排便できていても週に1~2回しかなかったりすると便秘状態であるといえます。

便秘だと問題があるの?

おなかが張って苦しい方はもちろん困っているかと思いますが、おなかが張ってこない方は解決しなくても問題ないのでしょうか。

答えから言うと、様々な病気の原因となる可能性があるため解決したほうが良いです。

排便が出ないことによる問題点、便秘の悪影響を挙げていきます。

便秘による問題①

便秘になると腸管の中に当然、便がたまります。
便がたまると通常であれば収縮運動がおこり排便を催すようになっていますが、便秘の方ではこの働きが悪くなっています。
これは、便がたまっている状態に慣れてしまっているためです。
つまり、便がたまっても収縮運動が刺激されず、さらに便を溜めてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
便秘はさらに便秘を悪化させてしまうのです。

便秘による問題②

便秘になるとどうしても便が硬くなります。
通常、人間の体では大腸で水分の多くを吸収しています。
そのため、大腸内に長くとどまることと、通常以上に便から水分が吸収されてしまいます。

便が硬くなるとどうしても排便しにくくなり、排便時に強くいきむ必要があったり、排便に時間がかかるようになります。
これらによって、痔やヘルニアになりやすくなってしまいます
についてはhttps://surgeon-s.com/hemorrhoids/
ヘルニアについてはhttps://surgeon-s.com/ing-hernia/

便秘による問題③

若い人ではあまり見られませんが、高齢者では便秘によって大腸に穴が開いてしまう人がいます。
大腸に穴があいてしまうことを下部消化管穿孔と言いますが、便がおなかの中に広がってしまい、腹膜炎という非常に致死率の高い状況になってしまいます。
たかが便秘でも命の危機となり、緊急手術が必要となってしまいます。

便秘による問題④

便秘が悪さをしているわけではありませんが、便秘であるということはすなわち腸内環境が乱れているということです。
最近の研究では、腸内細菌が体に必要な様々な物質を作り出しているということがわかってきました。
人が幸福感を感じるときに分泌されるセロトニンやドーパミンという物質がありますが、これらの物質の前駆体を合成するのに不可欠であるとされています。
また、ある研究では食物から摂取されるビタミンより、腸内細菌が合成するビタミンの方が体に重要な働きをしていると報告されています。

便秘の原因は

便秘の原因としては、まずおおきく機能性器質性の二つに分けられます。

機能性便秘

①急性便秘
腸管の動きが一時的に(急激に)悪くなることによって起きたもの。
食物繊維の少ない食事のとりすぎ、水分不足、精神的ストレス、長期間の臥床、ダイエットに伴う食事量の低下などで起こります。

②慢性便秘
大腸内に便がたまり、習慣的に便秘となってしまうもので、主に3タイプに分かれます。
・弛緩性便秘
筋力低下によるもの。高齢者や出産回数の多い女性に多く見られる。
・痙攣性便秘
ストレスによる自律神経の乱れや下剤の乱用で起こるとされています。
・直腸型便秘
便意の我慢にし過ぎなどで、正しく脳に便意が伝わらないために起こります。

③医原性便秘
下剤の乱用による体性だけでなく、一部の痛み止めや抗がん剤など様々な薬の副作用で便秘が生じることが知られています。
市販薬では咳止め吐き気止めでみられることがあります。

器質性便秘

腸そのものに何らかの病的な異常があり、便秘となっている状態のことです。

①狭窄によるもの
これは非常に分かりやすいかと思います。
主な病気としては大腸がんなどの腫瘍によるものがあります。
さらに狭窄がひどくなり全く便が通らなくなってしまうと腸閉塞という状態になってしまいます。
腸閉塞についてはhttps://surgeon-s.com/ileus/

②非狭窄によるもの
手術などの後に起こる癒着や、腸管粘膜の炎症性疾患、腸の位置異常や腸管壁の神経が先天的に欠落しているなどで起きます。
手術後の癒着を除いて、いずれも珍しい疾患であることが多いです。

便秘になりやすい人

大人ではイメージにあるかと思いますが、女性の方が排便に困っている人が多いようです。
しかし、子供では逆に男児に多いとされています。

成人の中でいえば、当然老人の方が多い傾向にありますが、
無理なダイエットや生活習慣の乱れなどから若い方でも見られるようになってきています。

以下になりやすい因子を挙げました。
・成人女性、男児
・食物繊維の摂取量が少ない
・水分摂取量が少ない
・食事のタイミングが不規則
・運動習慣がない
・すぐに排便に行ける環境にない(便意を我慢する必要がある)
・おなかの手術(特に胃や腸を切る)手術を受けたことがある
・長期間刺激性の下剤を内服している
・たくさんの種類の薬を内服している

最後に

便秘について正しい知識を持って対処することが、健康的な生活に大きく影響を及ぼします。
便秘薬についてはhttps://surgeon-s.com/no-constipation/

日々の排便から人生を向上させていきましょう。

お大事に。