虫垂炎の手術?内容と危険性

虫垂炎の手術?内容と危険性

虫垂炎と言われ手術を考えているのために。
また、手術を決心して内容を確認したい方や、手術を受けたこともある方も参考にしてみてください。

手術内容

主に開腹手術と腹腔鏡手術があります。

現在の主流は腹腔鏡手術で、NCD(National Clinical Database:日本中の手術のデータをまとめている機関)によると約60%程度が腹腔鏡で行われています。
腹腔鏡の方が低侵襲であるということで積極的に行われるようになっています。
しかし現在でも、妊娠中やお腹の手術歴、重症な虫垂炎などでは開腹手術となることが多いです。

それぞれの特徴、メリット・デメリットは以下のようになるかと思います。

腹腔鏡手術

臍に2㎝ほどの縦切開を置き、腹腔鏡という長細いカメラでお腹の中をのぞいて手術をします。
切ったり、縫ったりという処置もおなかの中で行います。
状況によってさらに2か所ほど1㎝長の切開を追加して、3カ所の傷で行うこともあります(左図)。

実際に手術をしている時間はだいたい60分程度です。
全身麻酔で行います。そのため、手術室にいる時間は2時間程度となります。

傷は従来の開腹手術に比べて目立ちにくいです。
痛みも開腹手術に比べ、少ない傾向にあります。3カ所となった場合でも、痛みを自覚する部分はおへそであることがほとんどです。

開腹手術

右下腹部を内側足側斜め方向に5㎝程切開をして手術をします(左図)。

虫垂の真上を切ることとなり、傷から腸(虫垂も含む)を引き出して手術を行います。


手術時間は腹腔鏡に比べ短いことが多く、30~45分程度です。
しかし、炎症が強い場合には腹腔鏡よりも時間がかかってしまうことがあります。そのような場合は傷も大きくなることが多いです。
初めから重度の炎症が予想されている場合は、下腹部正中を縦に切開することもあります。

麻酔は、寝てしまう全身麻酔が多いですが、腰椎麻酔(下半身だけの麻酔)で行うこともあります。

危険性

  • 出血
    どんな手術でも0にすることはできません。
    ただし、この手術ではほとんど出血しないことが多いです。
    順調にいけば血液検査のための採血のほうが多いぐらいです。

    しかし炎症が強い場合などで、大規模な手術となってしまったとき、
    もし万が一、命に係わる出血があれば輸血を行います。
    輸血もデメリットもあるため、必要な場合のみ行うことになります。
    輸血に関しては以下を参照ください。
    https://surgeon-s.com/?p=73

  • 感染
    虫垂自体は便の通り道である腸の一部です。
    ほかの部分の手術に比べると汚いものを扱うので、
    お腹の中や傷で感染を起こす危険性は少なくありません。
    もし感染がおこってしまった場合には追加で治療が必要となります。
    抗生物質の治療でよくなることも多いですが、おなかの中に膿瘍(汚れのたまり)を作ってしまった場合には、外から針で刺して抜いてあげることも必要になる場合があります。
  • 他臓器損傷
    こちらもどんな手術でもあげられます。
    この手術の場合、近くにあるのは小腸、大腸、尿管などです。
    ただし、これらの損傷があっても重症にならず、手術中にで対応できることが多いです。
  • 腸閉塞
    手術後に腸が癒着(本来くっ付かない所がくっ付いてしまうこと)してしまうことで、起こります。
    これは傷が治ろうとしてくっ付くのと似たイメージです。
    腸閉塞自体については以下で詳しくお話ししています。
    https://surgeon-s.com/ileus/
  • 全身麻酔の危険性
    麻酔薬の影響で血圧の変動があり、
    全身麻酔中は脳梗塞や心筋梗塞のリスクが(普通に過ごしているときに比べて)上がる
    と言われています。

    麻酔がかかっている間は人工呼吸器をつけます。
    そのため肺炎のリスクが上がるとも言われています。

    どんな薬もそうですが、アレルギー(アナフィラキシー)が起こる危険性はあります。

術後

腹腔鏡手術であれば、翌日から食事再開となり、術後3~4日で退院となる方が多いです。

お腹に圧がかかる動作(腹筋運動や重たいものを持ち上げる)は1か月ほど避けるのが無難です。

退院のころにはシャワーは問題ありません
むしろ傷はキレイに洗い流したほうが良いです。
傷から液がしみていなければ、入浴やプールもOKとしています。

食事は特に制限ありません
しかし、大腸を切った場合は便秘などの症状が出やすいので規則正しい食生活を心がけましょう。

仕事もよほどの事情がない限りは退院後すぐでも問題ありません。
上でも述べたように、重たい荷物を持ち上げるような重労働は、とくに大きな傷の場合には休むことが必要になる場合もあります。

傷の痛みは数日をピークに1~2週間ほどかけてよくなります。
痛みの感じ方は人それぞれで、痛みが残っていたとしても徐々に弱まっていれば問題ありません。
手術直後は痛み止めを十分に使えます。我慢せずに看護師さんに伝えましょう。

最後に

大きな手術ではないですが無理は禁物です。お大事に。